第2回シニアメンバー懇親会

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2020年2月3日月曜日

BIS論壇311は中国の状況を伝えています

BIS 論壇 No.311 『中国の現状と将来』2020年1月30日中川十郎

米中貿易戦争が一段落した中国では新年早々、武漢で発生したコロナウイルスによる新型肺炎は中國を中心に世界で感染者が 6000 人を超え、2003 年の SARS を超す勢いだとの ことである。中國では武漢をはじめ、首都北京、上海などでも海外渡航を禁止し始め、そ の影響は健康のみならず経済にも影響を与えつつある。WHO をはじめ世界の関係各国の グローバルな協力体制構築が望まれる。感染の進展しだいによっては4月の習近平国家主 席の日本への国賓としての訪問、さらには 7 月からの東京オリンピックにも影響を与える
のではと憂慮する声も上がり始めている。日中韓を中心に世界的な対策が強く望まれる。

さて去る1月21日、国際文化会館で言論 NPO 主催で「アジア平和会議」創設記念公開 フォーラム~北東アジアに持続的な平和をどう実現するか~と題した極めて有益な会議が 開催された。この会合には日中韓の関係者のみならず米国からも識者が参加した。

米国からはマーク・リパート元中韓国大使、ダグラス・パールカーネギー国際平和基金 ディスティングイッシュウド・フェローやデビッド・シェア元国防次官補などが参加した。
この中でダグラス・パール氏は北東アジアで持続的な平和を実現するためには急速に発 展しつつある中国との協力が不可欠である。一帯一路や AIIB(アジア・インフラ投資銀行) に関しても日米は積極的に協力し、北東アジアに平和を齎すことが肝要である。かってADB
(アジア開発銀行)設立については日米が協力したではないか。AIIB に関しても同じこ とがなぜできないのかとの意見には感銘を受けた。講演終了後、同氏に面談。筆者は長ら く一帯一路や中央アジア、AIIB などについて研究しているが、貴職の卓見に全く同感であ る。今後種々情報交流をしようと名刺を交換しあった。

安部内閣では「インド太平洋構想」で米国を中心に豪州、日本、インドで一帯一路に対 抗する動きをしている。これはかって麻生外務大臣時代、中國、ロシアを中心とする中央 アジアの上海協力機構に対抗し、日本が“自由の弧~Arc of Liberty 戦略”を推進した構図 と全く同じである。日本外務省を中心に日本政府では米国に付度し、中国の一帯一路には 批判的な空気が横溢していると聞く。日本政府はいつまでも米国追従の外交をやめてアジ アの時代にふさわしい独自の外交を行うべき時ではないか。

東京外語大で中国語を勉強し、70年にわたり中国を研究している久保孝雄氏によれば、 2010 年に GDP で日本を抜いた中国は世界2位、アジアで1位になった。数年以内に米国

購買力平価の GDP比較では 2014年に中国はすでに米国を上回っている。18 年には1位中國(25. 27 兆ドル)、2位米国(20.494 兆ドル)、3位インド (20.505 兆 ドル)、4位日本(5.594 兆ドル)。一方先進7カ国の GDP,40.68 兆ドルに対し、新興7か 国(中国、インド、ロシア、ブラジル、インドネシア、メキシコ、トルコ)は51.71 兆ド ルとG7を10兆ドル以上も上回っていると指摘しておられる。かかる事情を勘案し、日本 としては世界 80 カ国以上が参加している一帯一路や AIIB に参加し、21 世紀に発展する中 國やインドと共にユーラシアやアフリカでの協力を真剣に考究することこそ肝要である。

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