第2回シニアメンバー懇親会

第2回シニアメンバー懇親会

2019年12月5日木曜日

非薬物療法の目的とその範囲

非薬物療法


健康長寿ネット
非薬物的療法の目的
 運動や作業・活動を介することで、認知症の方が持っている能力を引き出し、機能を最大限
に活かした治療が行なえます。
昔好きだったこと、興味のあること、得意だったことは楽しく取り組めるので継続して行えます。
継続することによって持続性も向上し、昼間の覚醒時間も確保できます。
活動を遂行することで本人の自信や肯定的な感情が得られるので、不穏や問題行動も落ち着き、
家族の方も穏やかな気持ちで過ごせます。


現時点での認知症の治療戦略においては,薬物療法以上に,介護的関わりや認知リハビリテーションといった非薬物療法的の占めるウェイトが大きい。
Ⅰ.認知症の予防と非薬物療法(生活療法)
  1.食事療法
特に AD の発症予 防において,ビタミン E,フラボノイド,βカロ チンなどの抗酸化物,魚油とビタミン B12,葉酸な どの有効性が注目されてきている。
 (緑黄色)野菜や果物に含ま れる抗酸化物や葉酸は,酸化ストレスを抑制し, 神経変性過程の抑制に働く可能性がある。
 ポリフェノール類として赤ワイン(レ スベラトロル,ミリセチン,アントシアニン),緑 茶(カテキン),大豆(イソフラボン),カレース パイス(クルクミン)などが,抗酸化作用やフリ ーラジカル除去作用を有するとされる。大豆成分 (イソフラボン)やとうがらし成分(カプサイシン) は,インスリン様成長因子 insulin─ like growth factor(IGF)を介して認知機能を改善し得る可能性 が指摘されている。さらに,魚や海草に含まれる n ─ 3 系多価不飽和脂肪酸であるドコサヘキサエン 酸(DHA)や,エイコサペンタエン酸(EPA)も 神経伝達や神経成長に関与するとされる。
 2.運動療法 
 さまざまな身体運動のなか でも,特にウォーキングなどの有酸素運動の効果 が指摘されている。
 運動が認知機能低下に予防的に働くとしても, そのことが体を動かすことそのものの効果なのか, あるいは活動的であること自体によるのかは,ま だ完全には結論が出ていない。健康な高齢者の余暇活動への参加と,認知症発症との関連を検討した報告では,読書・ボードゲーム・楽器演奏・ダ ンスといった認知的な余暇活動への参加が認知症発症のリスクを減らす効果があった一方,ジョギ ングやテニスといった運動的な余暇活動にはその 効果を認めなかったという報告もある。
 これらの運動や活動レ ベルが高いことに伴って,βアミロイドの蓄積が 抑制されたり,海馬領域の賦活により脳由来神経成長因子 brain derived nerve growth factor(BDNF) が増加するといった実験結果が報告されていることは興味深い。
Ⅱ.介護的関わり 
 1.本人への関わり
 典型的な AD では食べた ことを忘れてまた食べようとしたり,誰かが自分 のごはんを食べてしまったと訴えたりするのに対 して,前頭側頭型認知症では毎日同じものしか食 べなかったり,甘いものをとりすぎたりする。疾 患に関する基礎的知識と,注意深い観察によって, 疾患ごとに特徴的な問題点に応じた解決策を図っ ていくことが重要である。
 可能な限り患 者に寄り添い,認知・行動障害の背景にある個別 の要因に気を配り,もっとも適切な療養環境を整 える。周囲の状況を誤認し,不安定になっている 患者に対しては,患者自身が安心できる,なじみ のある環境を形成していく必要がある。
 2.介護者への関わり
 治療者は,患者を 支える家族に対して,疾病理解のための指導・教 育を行い,適切に告知を行っていくための,自分 なりの言葉を持っておくべきである。
Ⅲ.認知リハビリテーション
 1.集団リハビリテーション
  現実見当識訓練 Reality Orientation(RO),回想法,芸術(音楽,絵画) 療法, ヴァリデーション・セラピー,デイケアな ど
  無作為比較 対照試験 randomized controlled trials(RCT)によ る検討で効果のエビデンスが比較的確立されてい る技法は,RO とデイケアである
 2.個人認知訓練/認知リハビリテーション
  Grade A としては, 介護者への複合的な介入により患者の施設入所を 遅らせることが推奨されている。また,Grade B としては,患者自身に対する認知訓練 cognitive training,複合的介入,認知的刺激 cognitive stimulation により,患者の認知機能および/または日 常生活動作(ADL),行動,気分,QOL の改善を 図ることが推奨されている。
Ⅳ.非薬物療法の効果と限界
 介入の効果を期待する領域として,認知機能の維持や改善ではなく,精神的安定や生活 の質,行動障害などに求めていくほうがより現実的である。音楽療法など,これまで十分なエビデンスが得られていないような領域についても,上記の効果領域に関してエビデンスが蓄積しつつある。

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